シク教の聖地・アムリトサル
インドの首都デリーから北上し、列車で約6時間の場所にあるシク教の聖地アムリトサル。
アムリトサルはインド北西部の州、パンジャーブ州に属しており、パキスタンとの国境に位置しています。
パンジャーブ州の「パンジャーブ」の語源はペルシア語のパンジュ・アブ(punj-ab)(意味:5つの河)で、パンジャブ州には本当に5つの河が存在します。
シク教の割合はインド人口のうち2%ですが、そのうちの70%がパンジャブ州に住んでいる為にたくさんのシク教の人達が生活しています。
そのため、アムリトサルでは道を歩いている人やバイクに乗っている人、警察官にレストランの店員さん。と、様々な場所で色とりどりのターバンを巻いた方達を見かけます。
他のインドの地域とは、シク教徒の密度が違うということをこの街を歩いていると、肌で感じることができます。
そしてここアムリトサルには「golden temple(Harmandir Sahib)」というシク教のグルドワラ(シク教のお寺)があり、毎日24時間シク教徒の巡礼者をはじめ異教徒の巡礼者も数多く集まります。
シク教って?
シク教徒の方の他宗教と違う主な特徴は頭に巻いたターバン。
macやiPhoneの絵文字機能でターバンを巻いた人の顔が「インド人」としてこのように出てきますが↓
インド人全員がターバンを巻いているわけではありません。
日本人=舞妓、侍、忍者とイメージされるように、インド人=ターバンは単なるイメージにすぎないです。
インドにはこのおじさんのように、適当な布を頭にぐるぐると巻いているおじさんがよくいます。
彼らはシク教徒というわけではなく、日除けとして頭に布を巻いています。そのため、とくにインドの砂漠地帯・ラジャスタン州では布で頭をぐるぐる巻きにしているおじさんがよくいます。
宗教的な意味合いでターバンを巻いているのはシク教徒のみです。
「全ての人間は皆平等である」として、今もインドに根強く残る”カースト制度”を否定し、「この世に神の国を造る」といってシク教を展開し、開祖したのがグル・ナーナクさん。
そして、そのナーナクさんの最後の後継者が、連体感を生み、他の宗教と差をつけて独自性を高めていくためにターバンをシク教の象徴としました。(ターバンを普段頭に巻かないタイプのシク教徒も多くいます。)
ちなみに、頭にターバンを巻くシク教徒は既に頭が守られているので、バイク乗用時のヘルメットは義務付けられていません。
シク教の黄金に光り輝くGolden Temple
ゴールデンテンプル(グルドワラ)に入るには、男女宗教問わず頭を布で覆わなければ入ることができません。
なので、入り口で頭を覆うようの布を貸し出ししています。
ゴールデンテンプル付近のマーケットでは
頭を覆うようの簡易的なターバンや布が、数十ルピーぐらいでたくさん売られています。
また、グルドワラには裸足で入らなければいけないので靴を入り口で預けます。
このゴールデンテンプルの運営は全て寄付で賄われていて、働いている方達はボランティアなので、靴を預けるのにお金はかかりません。
靴を預けると引き換えにトークンが渡されます。靴を預けずに自分のカバンに靴を入れて中に入ろうとする外国人がたまにいるからか、外国人の私達は入り口で「トークンは持ってるか?」とスタッフから提示を求められることもあるのでちゃんと靴は預けましょう。
私たち日本人が神社に参拝する前に手水舎で柄杓で水をすくって口と手を清めるのと同じように、
ここシク教のグルドワラでもまず入る前に口と手を清めます。
門をくぐる前に足も清めます。
そして門をくぐり階段を下ると、、美しいゴールデンテンプル!
ゴールデンテンプルに向かってお祈りしてる人や、
沐浴している人や、
ただひたすらゴールデンテンプルを眺める人やただひたすらセルフィーをとっている人達もいて、「周りと同調せず己を生きる」インド人の民族性がグルドワラ内でも観察できます。
夜のゴールデンテンプルはライトアップされ、より一層水面にシルエットが映し出されてとっても綺麗。
このゴールデンテンプルの敷地はとっっっっっっっっても広く、
お祈りをしたり、ドネーションをしたりする場所だったり、
大切にされている大きな木があったり、
飲料水を配っている場所もあちこちにあります。
もちろんゴールデンテンプルの中(中は撮影禁止)にも入ることができ、中は四六時中、人でいっぱいです。時には入場に数時間待ちのこともあるそうです。
外国人専用無料宿泊所
ここゴールデンテンプルは外国人専用の無料簡易宿泊所もあります。
ベットが何個か並んだ大部屋1つと、
3〜4人が寝れるくらいの中部屋が2つあり、
姿見があったり
60ℓくらいのバックパックでもすっぽり入るロッカーもあったり、シャワー室もあるので普通のホステルと設備はいたって変わりありません。
目の前がインドの方々の宿泊所で、トイレだけ外国人もインド人と共用です。
無料食堂『ランガル』
ゴールデンテンプルに来たからには絶対に行くべき場所、無償で食事が振舞われる無料食堂『ランガル』。
この無料食堂・ランガルには365日24時間、毎日約10万人が食事を求めてやって来るといわれています。
人種も階級も宗教も関係なしに誰でも食事をすることができるので、言わば『同じ釜の飯を食えば皆仲間!』方式です。
食器をもらい、
地面に座り、食器を手前に置いて待っていると
食事をボランティアのスタッフの人々が入れてくれます。
全て揃ったら、いただきまーす!
メニューは日や時間によって違うのですが、この写真を撮った日のメニューはダールカレー(豆のカレー)、ピラフ、ライスキール(おかゆの甘いバージョン)、チャパティでした。
汁物やライス類はスタッフが容器に入れてくれるのですが、チャパティはスタッフが渡してくれるものを手で受け取る方式です。
チャパティを受け取る時に、片手で受け取ろうとするとチャパティを渡してくれないので、必ず両手で受け取りましょう。(日本と同じく、片手で食べ物を受け取るのは失礼に当たります。)
気になる料理のお味は、味付けが濃くなく健康的な感じですごく美味しいです。
インドのレストランででてくる食事は味付けが基本的に濃かったり、日本人からすると刺激的な味付けだったりするのですが、ここランガルの食事は素朴で家庭的な味なのでおかわりしてしまうほど美味しかったです。
そして、食後のチャイもランガルでいただくことができます。
タイミングによればラスクをいただけることも。
なんといっても、この”無料食堂”『ランガル』のすごいところは、
皿洗いも、
調理も全てボランティアによって成り立っていること。
私が訪れた時は、普通の平日にも関わらず「人手が足りない」というような印象は一切なく、四六時中ボランティアの人で溢れかえっていました。
シク教の総本山「ゴールデンテンプル」でボランティアをすることは、シク教の人々にとってはボランティアという「奉仕活動」としてではなく、信仰心からなる「巡礼」のうちの1つなのかもしれません。
国籍宗教問わず誰でもボランティアをすることができるので、グルドワラに巡礼した際は是非ボランティアに参加してみてください。
ボランティアに参加すると、ただ観光するだけでは見ることのできない、ローカルの方達の生活を垣間見ることができます。